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福利厚生の人気施策を紹介!福利厚生の傾向や企業のメリットについても解説

福利厚生の充実は、従業員のエンゲージメント向上や、競合他社との差別化を図る上で欠かせないものです。特に昨今では、福利厚生をはじめとするウェルビーイングへの取り組みを重視して企業選びをする求職者も増えてきました。
しかし、福利厚生を充実させるために、「何から手をつけたらいいか分からない」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は、人気の福利厚生施策をランキング形式で紹介します。福利厚生の充実化で得られる企業のメリットや福利厚生導入時のポイントのほか、独自の取り組みをしている企業の事例もご紹介しますので、参考にしてください。


福利厚生とは?

福利厚生とは、従業員とその家族の健康や生活の向上を目指して企業が実施する取り組みのことです。給与や賞与以外の報酬として提供され、その種類は大きく2つに分けられます。まずは、2つの福利厚生の違いについて見ていきましょう。

1.法律で義務付けられている「法定福利厚生」

法定福利厚生とは、企業が従業員に向けて行うサービスのうち、法律で導入・実施が義務付けられているもののことです。従業員を雇用するにあたっては必ず法定福利厚生を適用する必要があり、適用がなければ法律違反となります。法定福利厚生とされているのは、下記の6つです。

  • 厚生年金保険
    厚生年金保険は、従業員とその家族の老後に備える保険です。保険料は労使折半で、65歳以降に厚生年金が支給されます。

  • 健康保険
    健康保険は、病気やケガ、出産、死亡などの非常事態に備える保険です。対象者は民間企業に勤める人とその家族であり、保険料は労使折半です。

  • 介護保険
    介護保険は、介護が必要な要介護者、要支援者に対して、介護にかかる費用を給付するものです。適切な介護サービスにつながるサポートも行います。保険料は労使折半です。

  • 子ども・子育て拠出金
    子ども・子育て拠出金は、子育てを支援する目的で使われる税金です。従業員の厚生年金といっしょに徴収され、全額事業者負担になります。

  • 労災保険
    労災保険は、従業員が勤務中や通勤中にケガや病気になったり、障害を負ったりした場合、あるいは死亡した際に、保険給付する制度です。労災保険は全額会社負担であり、従業員の負担はありません。

  • 雇用保険
    雇用保険は、失業した方や、就業を目指して教育訓練を受ける方の生活を支えるための保険です。費用は労使で負担しますが、その割合は半々ではなく、事業者側の負担割合が多くなります。

2.企業が独自に設定する「法定外福利厚生」

法定福利厚生以外に、企業が独自に設定・実施するのが法定外福利厚生です。導入している企業が多い代表的な法定外福利厚生には、下記のようなものがあります。

<主な法定外福利厚生>

  • 通勤手当
  • 住宅手当(家賃補助)
  • 健康診断補助
  • 人間ドックの費用補助
  • 提携トレーニングジムの料金割引
  • 育児休業
  • 介護休業
  • 自己啓発のための活動支援

福利厚生でとれる有給休暇

福利厚生のなかには、「休暇」の福利厚生もあります。

そもそも休暇には「法定休暇」と「特別休暇(法定外休暇)」があり、特別休暇は企業独自の福利厚生の1つです。法定休暇とは、法律で定められた休暇であり、労働基準法で定められた休暇もあれば、育児・介護休業法で定められた休暇もある。特別休暇とは、企業独自で定めた休暇であり、義務ではないため、特別休暇がない場合もある。以下は法定休暇と特別休暇の例です。

【法定休暇】
年次有給休暇
生理休暇
産前休業・産後休業
育児休業
子どもの看護休暇
介護休暇
裁判員休暇 など

【特別休暇(法定外休暇)】
病気休暇
忌引休暇
結婚休暇
リフレッシュ休暇
ボランティア休暇
誕生日休暇
記念日休暇(アニバーサリー休暇) など

福利厚生と社会保険の違いとは

社会保険とは、法定福利厚生の1つです。法定福利厚生には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、子ども・子育て拠出金などがあり、そのうち健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つが社会保険に当たります(※)。

※参考:厚生労働省 社会保障とは何か

アルバイト・パートが利用できる福利厚生とは

アルバイトやパートで働く従業員にも、福利厚生は適用されます。しかし、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」とで適用条件が異なることがポイント。

法定福利厚生については、法律で定められた特定条件を満たす必要があります。以下は、法定福利厚生のアルバイト・パート従業員における適用条件の一例です。

【アルバイト・パートの法定福利厚生適用条件】

  • 年次有給休暇:6ヶ月以上雇用し、決められた期間の8割以上出勤していること

  • 社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険):1週間あたりの労働時間が20時間以上で、2ヶ月を越える雇用見込みがある。所定内賃金が月額8.8万円以上。学生ではない。

アルバイト・パート従業員の社会保険は、2016年10月から2024年10月にかけて段階的に義務化されている最中です。2024年10月からは従業員数51人以上の企業が対象となるため、厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」を確認しましょう。

一方、アルバイト・パートの法定外福利厚生は企業が定める条件で適用されます。企業により定める条件が異なるため、企業担当者は他社の適用条件を参考にし、従業員は利用する際に適用条件を企業に確認するとよいでしょう。

 

福利厚生のメリット

企業に義務付けられているのは法定福利厚生のみです。しかし近年、法定外福利厚生は従業員のエン
ゲージメント向上や企業イメージの醸成にも大きな役割を果たすようになりました。
特に、ワーク・ライフ・バランスを重視したい若年層にとって、福利厚生が充実していることは企業
選びの基準の一つでもあります。

株式会社マイナビが実施した「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」によれば、大学生が企業を
選択するポイントは「安定している」が43.9%(対前年1.1pt増)で1位でした。不確実な未来への不
安からか、「給料の良い会社」が減少する一方、「休日・休暇の多い会社」「勤務制度、住宅など福
利厚生の良い会社」が前年比増となり、働く環境を重視する人が増えていることがわかります。

また、同調査で「企業に安定性を感じるポイント」を複数回答で聞いたところ、「福利厚生が充実し
ている」が53.3%で1位となりました。この結果から、福利厚生の充実は「企業の採用力向上」につな
がる可能性が高いことが見えてきます。

【参照】株式会社マイナビ「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」|株式会社マイナビ(2022年4月)
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2022/04/a958ccfb3f6afa0becd24b078d7ed9e9-1.pdf

また、福利厚生を充実させることには、ほかにもメリットがあります。福利厚生の充実によって生ま
れるメリットを確認していきましょう。

従業員のモチベーション向上

福利厚生制度を充実させると、従業員の働きやすさや満足度を高め、企業で働くモチベーション向上
につながります。

充実の福利厚生は、従業員にとって「企業から大切にされている」と感じられる要素。給与以外で受け
取る対価の大きさは、モチベーションに直結するといえるでしょう。

また、医療や育児、介護などの生活を支える福利厚生がしっかりと整備されていると、従業員は企業に
所属している安心感を得られるため、仕事に対する意欲向上が期待できます。

人材の獲得と定着の促進

充実した福利厚生制度は企業の魅力を高め、採用活動におけるPR要素としても活用可能です。それにより応募者の増加、優秀な人材の獲得競争力を向上させます。

また福利厚生を充実させることは、従業員の満足度やモチベーションを高め、離職率を下げる施策として活用できるのもメリットの1つです。

 

生産性の向上と効率化

従業員が心身共に健康な状態で働けるようにすることで、生産性が向上し、企業経営全体の効率化を図れます。福利厚生が整備され従業員が生き生きと働ける企業では、従業員のパフォーマンス向上を期待できるでしょう。あわせて、健康保険や定期健康診断の提供により、疾病の早期発見や予防にもつながります。

上記のようなパフォーマンス向上、従業員の疾病による休業・離職の減少で中長期的な生産性向上にも寄与するでしょう。

 

企業ブランド力の向上

福利厚生で従業員が働きやすい環境を整備するメリットの1つとして、企業のイメージ向上も外せません。

とくに近年は社会全体での健康経営意識の高まりもあり、企業の従業員に対する取り組みが注目されています。

福利厚生を充実させていることが、ステークホルダーからの信頼につながり、企業としてのブランド力の向上が期待できる可能性もあるでしょう。

 

給与・賞与アップと福利厚生の提供どちらが得か?

福利厚生を提供するなら、給与や賞与を上げた方がいいのではと思うこともあるでしょう。給与・賞与アップと福利厚生とを比較してみると、それぞれ以下の要素が挙げられます。

福利厚生の場合
・非課税でサービスを受けられる場合もある
・導入には多少のコストがかかるが、外部への委託も可能
・キャリアやスキル、評価に関係なく公平に提供される
・人事戦略に合わせて、個人や組織の生産性を上げられるような使途の設計が可能

給与・賞与アップする場合
・給与アップを一度すると下げにくく、人件費がかさむ可能性もある
・経営戦略に紐づく人事制度の策定が必要なため、導入に一定のコストがかかる
・会社の業績・個人の成果に応じた給与・賞与アップなので、全員が恩恵を受けられるわけではない
・報酬の使い道は個人に委ねられる

給与・賞与アップは、従業員のキャリアやスキル、貢献度合いなど、会社からの評価を伝える手段になり得ます。しかし、人事評価制度の導入・再考が必要になるほか、一度給与を上げると下げにくいため、慎重に検討する必要があります。

自社の人事戦略に沿った人事制度が提供できるのであれば給与・賞与アップも効果的でしょう。一方で、福利厚生は従業員へ平等な提供が可能。また、給与や賞与アップと異なり使途を設定できるため、企業の成果につながる人事戦略として活用できます。

また、給与ではなく福利厚生として提供することで、生活や医療などいざというときに本当に必要な内容に限定して従業員を支えることもできるでしょう。従業員にとっては一種の保険的存在になり得ます。

さらに、給与は課税対象となりますが、医療や健康など一部の福利厚生は非課税。これも福利厚生として提供する1つのメリットです。

人気の高い福利厚生について解説

時代の流れとともに働き方や働く人の意識が変わるにつれ、福利厚生の内容も変化してきました。少子高齢化で深刻な働き手不足に陥る企業が多い現在では、長く安定して働ける環境であることをアピールする福利厚生が目立ちます。
また、コロナ禍でテレワークの導入が進み、従業員が家庭で過ごす時間が増えたことから、より家庭・家族にフォーカスした福利厚生が喜ばれる傾向があるようです。
具体的にどのような福利厚生が従業員に人気なのか、見ていきましょう。

1.特別休暇

法律で定められている休日・休暇以外に、企業が独自に定めた休暇を「特別休暇」といいます。例えば、リフレッシュ休暇や、誕生日に休めるバースデー休暇、アニバーサリー休暇、夏季・冬季休暇などがあります。
特別休暇が人気を博しているのは、コロナ禍でテレワークが浸透し、自分の時間や家族との時間を重視する人が増えたことが理由となっているのでしょう。

2.慶弔支援

慶弔支援は、従業員の結婚などの慶事や、家族の不幸などに際して会社がサポートをするものです。
それらの大きなライフイベントでは、金銭的な負担に加えて精神的な負担も大きいことから、お祝い
金や見舞金といった名目で経済的に支援したり、心身を休める時間として休暇を与えたりします。

3.ファミリーサポート

ファミリーサポートは、従業員を含めた家族のための支援です。かつては、社員旅行をはじめとする
企業主体のイベントが好まれる傾向がありましたが、ワーク・ライフ・バランスが重視される現在で
は、より「家族」にフォーカスした支援が好まれています。
ファミリーサポートには、企業内保育所や家族手当のほか、子供の学校行事への参加や家族の病院へ
の付き添いのための休暇などが挙げられます。

4.ヘルスケアサポート

ヘルスケアサポートとは、従業員の健康維持につながる支援全般のことを指します。人間ドック受診
や歯科検診への費用サポート、健康的なメニューを提供する社員食堂の導入が挙げられます。

5.住宅手当・家賃補助

今も昔も変わらぬ人気の福利厚生は、住まいに関するものです。法定外福利厚生には社宅や寮の提供
などが昔からありますが、最近は住宅ローンの補助や家賃の補助を求める人も増えてきました。
住宅が賃貸や持ち家の場合、毎月の家計の多くを占めることとなる住宅関連費用の手当・補助は、性別
や年齢を問わずニーズが高い福利厚生といえます。

6.自己啓発支援

終身雇用制度の文化とは異なり、従業員にキャリアの自律が求められるようになってきている昨今、
自己成長につながるリスキリング(学び直し)は欠かせません。福利厚生の中にリスキリングのメ
ニューがあることは、採用活動における大きなアピールになります。

7.介護支援

40~50代になると、親の介護が現実味を帯びてきます。この世代は決裁権を持つ人材も含んだ企業
の重要戦力でもあり、介護を理由とした離職は避けなくてはなりません。
そこで、法律上の介護休暇に加えて、介護相談窓口の設置や介護サービス利用代金の補助などを行う
企業が増えているようです。

8.財産形成支援

法定外福利厚生における財産形成支援の一例としては、従業員の給与から毎月一定額を天引きし、
個人の資産形成をサポートすることが挙げられます。具体的な財産形成の支援としては、下記の3つ
が代表的といえます。

  • 一般財形貯蓄
    一般財形貯蓄は、資金の用途や貯蓄の目的に縛りがない点が特徴です。

  • 財形年金貯蓄
    財形年金貯蓄とは、老後の資金として貯蓄をすることです。

  • 財形住宅貯蓄
    財形住宅貯蓄は、マイホーム購入やリフォーム費用を使途とする貯蓄です。

9.子育て支援

法律で定められた産休・育休や手当以外に、社内保育所の設置、育休の延長などさまざまな方法で
子育てを支援する福利厚生も人気です。
これまでは子育て支援の対象といえば女性でしたが、近年は男性も積極的に育児に参加するように
なってきたことから、「パパ育休」のような男性向け子育て支援も増えてきました。

10.保険サポート

法保険サポートも根強い人気があります。法人が契約者となり、被保険者を役員や従業員とする法人
保険に加入していると、従業員に万が一のことがあった際でも遺族への生活保障や退職金、医療費支
援などが支給されることがあります。

福利厚生導入時の3つのポイント

福利厚生の導入にあたっては、押さえておきたいポイントもあります。福利厚生を充実させる際には、下記の3つのポイントは押さえておきましょう。

①導入費用・運用費用のシミュレーションを行う

福利厚生は、導入する内容によって費用が変動します。まずは、初期投資としてかかるコストとランニングコストを算出し、予算に応じてメニューを検討しましょう。

②従業員のニーズを調査する

せっかく新しい福利厚生を導入しても、従業員が利用しなければ意味がありません。事前にアンケートなどを実施して従業員の意見を聞き、ニーズを踏まえてサービス内容を決定しましょう。

③従業員が任意で利用できるようにする

性格や嗜好などによって、従業員それぞれの福利厚生の好みは異なります。福利厚生の利用は無理強いせず、従業員が自由に選択して利用できる環境を整えることが大切です。

ユニークな福利厚生の事例

現代の企業はどのような法定外福利厚生を推進しているのでしょうか。ここからは、従業員満足度の高いユニークな福利厚生を導入している企業の事例を紹介します。

①サイバーエージェントの福利厚生:健康と家族へのフォロー

従業員の意見を吸い上げ、ニーズを反映した福利厚生を多く導入しているのが株式会社サイバーエージェントです。
健康診断やメンタルヘルスに関する産業医相談や、無料で月4回(週1回×4)まで利用できるマッサージルームといったヘルスケアサポートのほか、女性活躍促進制度「macalonパッケージ」として、女性が継続して働ける環境づくりのための施策をパッケージ化して提供しています。
パッケージ内容には、女性特有の体調不良の際に取得できる特別休暇や妊活休暇、子供の看護時をフォローする制度などもあります。

②フォアロスの福利厚生事例:業務に必要なおしゃれ手当

求人・採用に関するソリューションとサービスを提供している株式会社フォロアス。従業員は顧客と対面で接する機会が多いことから、業務上必要な衣類や美容に使う費用として月1万円までを支給する「おしゃれ手当」を導入しています。
おしゃれ手当の適用範囲は、出社用の衣類から鞄、靴、化粧品、美容室、ネイル、まつげ、エクステンションまで幅広く、従業員はそれぞれに工夫を凝らしておしゃれを楽しんでいるようです。

③レバレッジの福利厚生事例:研修、交流、芸術鑑賞を支援

プロテインやサプリメントを販売する「VALX」を中心に、D2C事業、メディア事業、フィットネス事業を展開する株式会社レバレッジは、さまざまな雇用形態の人に向けた福利厚生を用意しています。

  • 研修費用、資格取得費用、書籍購入費用を補助
    研修費は毎月1万円まで支給。資格取得費用と書籍購入費用の補助は、会社が認めたものであれば上限はありません。
    資格取得費用は、事業に必要な資格と会社が判断すれば、合格後に支給されます。

  • 飲み会補助
    従業員同士の交流を促すイベントには、毎月3,000円までの補助があります。パート・アルバイトやインターン生も利用できます。

  • 芸術鑑賞費用補助
    芸術鑑賞費用補助とは、芸術作品からのインプットが良いアウトプットにつながるとして導入された制度です。パート・アルバイト、インターン生も対象とし、映画、絵画、展示会などの鑑賞費用を毎月2,000円まで支給しています。

まとめ:福利厚生でウェルビーイングを推進しよう

従業員が心身共に満たされた状態で働ける環境を作ることは、個々のパフォーマンスを高め、経営の安定化を図る上で重要です。これからの時代は、福利厚生でウェルビーイングを推進し、組織力の強化を図ることが企業の使命となっていくのかもしれません。